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Op. 9-2

あと1年このままの生活を続けていたら江國香織の小説の女の子になれるんじゃないかって思って泣いてる、けれどきっともっと歪むと思う。

意に反した行動をしてしまっていてよくわからないし、たとえば人に自分の靴を蹴飛ばしてぶつけて、ぶつけられた相手は「どこから飛んで来たんだろ?」なんておどけた口調で笑っていたけれどわたしは酷く傷ついてるし。もっとちゃんとお礼を伝えるべきだったのに、気持ちをちゃんと言葉にしていたかどうか記憶にないし。


アクセサリィが欲しくて、アクセサリィって幸せの象徴だと思うから。けれど身に着けるととても不自由ですね。幸せってそういうことなのかもしれない。誰かと寄り添うと安心するし、帰る場所があるのはとても幸せ。けれど、同時に不自由さが付き纏います。

セルジュ・トラヴァルの『幸せの手錠』という作品を見つけてしまって、泣いてしまいました。いまのわたしの気持ちにぴったりで、戒めになるでしょうか。きっと、買うと思う。


アクセサリィに憧れて、けれどその不自由さをひとつも受け入れられなくて。ネックレスも、ブレスレットも、指輪も買うだけ買ってそのまま。飾ることもなく、まとめて捨てることを繰り返しています。
プレゼントしてもらったアクセサリィは(あいにく女の子から貰ったものばかりだけれど、だから尚更)捨てられなくて、可愛げの無いジュエリーボックスに仕舞ってあります。見えなくても、こっそりとした愛しい不自由さがある。

アクセサリィへの憧れは消えなかったので、ピアスを沢山着けました。ピアスなら身体に馴染んで不自由さが無い。そのうち数えるのも辞めて、おかげで痛々しい耳になってしまいました。でも、ひとの記憶に残りやすくなったと思います。便利なので、そのままにしてあります。


傷付ける前に傷付く前に全てをなかったことにするほうが美しいし、わたしが受けるダメージもないと思って。アクセサリィと同様に付き纏う不自由さを受け入れられなくて、恋愛感情を受け入れられない。めんどくさがりなんです。そして、なにより傷付きたくない。学生同士の恋愛なんてたかが知れていますよね、随分と冷めた学生生活を過ごしました。けれど不満とか何ひとつ無い、身軽で楽しいです。

わたしは自分の足でしっかりと立っていられるような、強くて健やかな女の子になりたかった。たとえば誰か他人や、薬や、様々なものに依存して頼らないと立っていられないような女の子になんてなりたくない。人前でなんて泣きたくない。生まれ育った環境にも同情されたくない。
でも、自分の抱えている大きな大きな空虚さに戸惑っています。なにで埋まるんだ、どうしたら埋まるんだ、胃を満たせば埋まるのでしょうか?


ザ・コレクターズのライブでラブソングを聴くと、素敵な恋をしよう!と思わされます。どうしてあんなにもキラキラ、キラキラと素敵なふうに思わされてしまうのでしょう。
ほとんど唯一の救いです。


わたしはお互いに傷付かない関係に安心しきって身を預けることが出来るし、わたしがいくらきつい言葉を浴びせたって、不機嫌そうにしたって、わがままで振り回したって、相手がなんともないどころか わたしの一挙一動喜怒哀楽を楽しんでいることを知っています。相手は何枚も何枚も上手(うわて)なのです。相手がわたしを極力傷付けないように配慮してくれているのも知っていて、都合の悪いことは気付かないふりをする自分自身にも気付いている。後腐れがないように、酷く慎重に。
いつまでここに甘えるのかな、来年も再来年も続くのかな、わたしが相手に飽きられるまで。何も背負わずに甘いところだけ欲しいだなんて、ほんとうに卑怯で最低ですね。だから、そのぶんわたしはきちんと傷付いているつもりです。相手が傷付かないぶんも全部。


煙草の煙にも慣れました。けれどやっぱり(半分わざとだけれど)過剰に嫌がるわたしのために携帯しているガム、安っぽい歯ブラシと不味過ぎる歯磨き粉、砂糖もクリームも沢山入れた最低最悪な不味い珈琲。食事のマナーのなっていない、食べ方の汚いおとな。わたしの精神快調と不調の原因。ほんとは毎日声を聞きたい なんて言えないし(実際に毎日だと負担が大きすぎて疲れて嫌になっちゃいます)。コロンの香りを思い出して嫌になったら お酒を一気に飲んで具合悪くなって無理矢理寝ちゃういつものコースでいいや。数年前にした自傷行為の傷跡に「大変だったんだね」なんて言われたくなかった。今だって身を削って生きてる。


喫茶店に連れて行ってもらったとき、素直にソーダフロートやレモネードを頼めばよかったんだ。どうして相手に合わせて食べたくもないどうでもいいケーキと珈琲(珈琲は美味しかった)を頼んでしまったんだろう。背伸びなんて、しなければよかった。

いいよね、あなたは って言って過去の女性の分も合わせてめちゃくちゃに傷付けてやりたいけど、たぶん、一生無理だと思う。そこまで好きじゃない、お互いに。楽ちんで便利な関係、わかりやすくていいよね。知り合ってからは極力携帯のマナーモードを解除している自分が馬鹿馬鹿しくて嫌になる。一緒に過ごす時間はとても楽しくてロマンティックだもんね。認めます。

でもね、わたしじゃなくてもいいことくらい充分に承知しています。この関係に将来性が無いことも知っています。電話を掛けたくなる瞬間が増えてきて怖い。人の腕のなかで泣く心地よさと安心感を知ってしまったから怖い。でもね、わたしもね、別にあなたじゃなくたっていいんですよ。だってこれは恋愛じゃない。
都合よく変えられていくのが怖いんです。だから、わたしがこれ以上傷つく前に捨ててください。

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